【イベントレポート】 介護と医療現場の今を語る「かいご楽快」とは

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介護する人の悩みは、認知症の方々の症状によってさまざま。病院で相談したり、新聞や書籍などで調べてみても、マニュアル通りの回答で思うように悩みが解決しない方も多いのではないでしょうか。そんな方におすすめしたい「介護の本音」が聞けるフォーラムが去る1月9日に開催されました。

介護の本音がユーモアたっぷりに聞ける講演会

今年で12回目を迎えた「かいご楽快」は、毎年1月頃に開かれる介護フォーラム。聴講者は年々増え続け、今では約700名ほどが入る会場がいっぱいです。コンセプトは「介護と医療とご近所(地域)が楽しく・愉快にまじくる」。終末医療にとって「介護」と「医療」と「地域のつながり」の三要素が、密になって交流することは欠かせないといいます。そこで介護・医療現場の最前線にいる講師陣や、介護に悩み立ち向かう家族の方々が登壇し、介護と医療の今について本音を語っていきます。

 

専門家や介護する家族が語る、認知症との向き合い方

三好春樹さん(生活リハビリ研究所代表)は講演で「認知症になると排泄物を口に入れてしまったりするケースがありますが、これも乳児が何でも口で確かめてしまう「口唇期」のようなものだと考えれば、介護にまつわる認知症の人の行動に対するケアの仕方が工夫できる。認知症の見方と関わり方が正しく伝わっていないことが地獄を招いている」といいます。

また上田諭さん(日本医科大学精神神経科)は『認知症をすすんで迎える社会に』と題して講演。認知症には大きく分けて4タイプがあり、それぞれ薬で治らない症状や薬をやめて改善がみられる場合がある症状などについて説明。また徘徊という言葉に対して疑問を呈し、意味もなく歩くのではなく、そこには「田舎に帰ろうとしていた」「子どもを迎えに行こうとしていた」など何か理由があるはず。対応次第で状況を良くも悪くもできるのでしょう。

その他、介護家族を代表して、2名の方が登壇。精神科から退院するまでの原体験を語ってくれました。「苦労や不安、葛藤が尽きない毎日の中で、どんな状況でも笑う余裕を意識して過ごすことの大切さ。そして、介護は他人まかせにせず、施設や病院、薬など、自ら調べることが大切だ」といいます。

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親の老いをあたたかく受け入れる

時代が変遷するなかで、いつしか自宅から医療機関での看取りが当たり前になった現代。「認知症を薬でなんとか治してほしい」とお医者さんに相談する子どもが多いそうです。このような「子どもからの視点だけで見た過剰な反応により、親が穏やかな終末期を送れないでいる」という。親を管理してしまっていないか、いま一度見つめ直してみることも大切。親の老いをあたたかく受け入れることは、子どもが親に  できる最後の親孝行といえるでしょう。

介護する側も、介護を受ける側も、互いに知ることが大切。

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かいご楽快を開くきっかけは、2007年9月に開かれた「おむつはずし」のイベント。参加していた介護職の方の「イベントがきっかけで“入所者さんの家族の方から話を初めて聞いた”というコメントに愕然とした」と、NPO法人つどい場さくらちゃん理事長の丸尾多重子さんはいいます。「入所者さんの性格はもちろん、どんなふうに生きてきたかという人生の系譜を知らないとお世話なんてできないです。たとえば子どもをきちんと育ててきた人なのか、それとも母娘の関係はどうだったのかなど、人は一人ひとりバラバラ」と、人間らしく向き合うことの大切さを語ってくれました。 講演後は登壇者と参加者の総勢100名で食事会を行い、さまざまな相談が「介護」、「医療」、「地域」それぞれの立場で意見を交換する場面が多々見られ有意義な会となりました。

<丸尾多重子さん プロフィール>
「介護する人、される人の垣根を越えて、みんながまじくる(交わる)場が大切です」
特定非営利活動法人つどい場さくらちゃん理事長。兵庫県西宮市で「つどい場さくらちゃん」を運営。介護する人と介護される人が集い、一緒に昼食をしたりお茶をしたりするなかで、情報交換する場を作っている。講演やテレビ・ラジオ・新聞など出演多数。『心がすっと軽くなる ボケた家族の愛しかた』(高橋書店)、『ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!』(ブックマン社)など著書多数。
つどい場さくらちゃんウェブサイト:http://www.geocities.jp/tsudoiba_sakurachan/
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認知症と向き合う上で、やってはいけない2つのこと。