介護のためのおむつのヒント

おむつ選びナビ③一人ひとりに合わせた排泄インナー選びの4つのポイント

基本的なおむつ選びの考え方として、おむつを選ぶ際には、内側で尿を吸収する「排泄インナー(パッド)」と排泄インナーを止めるために使う「排泄アウター」に分けて考え、排泄アウターを選ぶときは、ご本人の身体機能とサイズに合わせたものを選ぶとよいことを「おむつ選びナビ①」と「おむつ選びナビ②」でお伝えしました。

おむつ選びを間違えると、モレを発生させるだけではなく、おむつの費用が高くなったり、スキントラブルが起きたり、ご本人の座っている時の姿勢を崩したり、動きを阻害したり…、暮らしに様々な弊害が起きてきます。今回は、一人ひとりに合わせた排泄インナーの選び方についてご紹介します。

排泄インナー(尿パッド)ってどんな種類があるの?

排泄インナーは尿を吸収するもので、原則は排泄アウターの中に1枚だけ入れて使用します。排泄アウターがぬれていなければ、尿パッドだけを交換すればよいので、交換が簡単で経済的です。排泄インナーには、紙製と布製ものがあります。紙製の尿パッドは小さなパッドから特大のパッドまであります。また、軽い尿モレには軽失禁パッドがあります。

布製パッドは、紙製のものに比べると吸収量が少なくなりますが、紙製のパッドではお肌がかぶれてしまう方に向いていたり、繰り返し洗って使用できたりする利点があります。

排泄インナー選びの4つのポイント

吸収量は、多くの紙おむつメーカーで、概ね1回分を150mlとして、約○回分と表記されています。メーカーによって、おしっこ約1回分~約10回分までさまざまな種類があります。では、どのような点を意識して排泄インナーを選べばいいのでしょうか?今回は選ぶときの4つのポイントをご紹介します。

排泄インナー選びのポイントその1

「排泄アウターは何を使う?(テープ止め紙おむつ、パンツ型紙おむつ、ホルダーパンツ)」

組み合わせる排泄アウターに合ったものを選んで使いましょう。例えば、紙パンツ専用パッドは紙パンツの中にぴったりおさまるスッキリ形状になっています。紙パンツに取り付けやすい2つ折り形状で、前後のズレ止めテープが紙パンツにぴったりくっついて、上げ下げしてもズレません。

また、パンツ型紙おむつに大きいパッドを併用すると足回りからパッドがはみ出てすきまができて、モレの原因になります。排泄アウターに横モレを防ぐ立体ギャザーがついているものは、立体ギャザーの内側に入るパッドを選ぶとモレにくくなります。

排泄インナー選びのポイントその2

「どれくらい吸収量が必要?」

排泄インナーは吸収量別に色々な種類があるので、使用する時間の失禁量を吸収できる商品を選びましょう。失禁量を調べるときは、吸収後の排泄インナーの重量(外側までモレた場合は、排泄アウターも含める)から、使用する前の重量を引くと、その時間の失禁量がわかります。

排泄インナー選びのポイントその3

「肌あれが気になる場合は?」

おむつの中は蒸れやすく、お肌がふやけやすい環境です。それに高齢者の皮膚は乾燥しやすく表皮が薄くなっているので、刺激に対する防御力が落ちています。そのため少しの刺激でも傷ついてしまいます。

排泄したあとの尿は時間とともにアルカリ性に傾くため、かぶれなど肌あれにつながります。肌あれが気になる方は、なるべく皮膚を清潔に保ち、ムレを軽減する通気性の良いパッドを選びましょう。

排泄インナー選びのポイントその4

「日中や夜間睡眠時の交換について、ご本人の意向は?」

日中は、なるべくトイレで排泄できるように、交換が簡単で、動きやすく、座った姿勢を崩さない小型のパッドを使用することをおすすめします。

しかし、睡眠時のおむつ交換はご本人も介護する方も、心身ともに疲れてしまいがち。交換しないでグッスリ寝たいか、排尿のたびに交換したいか、まずご本人の意向を確認しましょう。その上で介護力や環境などを考慮し、夜間の排泄ケアを考えていきましょう。

夜間途切れずにぐっすり眠ることは、ホルモンや血圧の調整、お肌の修復機能のためにも大切です。4~5時間は交換しなくてもしっかりモレに対応できるような通気性にすぐれた高吸収の大型パッドをして寝てもらい、お互いの睡眠を大切にしましょう。
 

まとめ

おむつ選びの基本的は、内側で尿を吸収する排泄インナー(パッド)と排泄インナーを止めるために使う排泄アウターに分けて考えることが第一。排泄インナーは尿を吸収するもので、原則は排泄アウターの中に1枚だけ入れて使用します。外のおむつがぬれていなければ、パッドだけを交換すればよいので、交換が簡単で経済的です。排泄インナーはメーカーによって、おしっこ約1回分~約10回分までさまざまな種類があります。「排泄のアウターは何を使うのか」「どれくらい吸収量が必要なのか」「肌あれ」「日中や夜間睡眠時の交換についてのご本人の意向」の4つのポイントを押さえて、最適な排泄インナーを選びましょう。