介護の専門家に聞く!今知っておきたい介護ニュース その⑩「医療制度改革の現状について」 

医療改革

病気が治り病院に入院する必要もないのに長期的に入院を続けている高齢の患者さんは少なくありません。こういった状態を、一般的に「社会的入院」と呼びます。様々な立場からの様々な意見があるように思いますが、高齢者の方には、安心して生活できる社会になってほしいですよね。

国民が、混乱してしまう程に複雑な制度改革が度々進められており、もはや一般の人には、何がどうなっているのか、理解しづらい状況になっています。今後の医療制度がどのような方向に向かうのか、最新のニュースに基づき、白鷗大学教育学部川瀬善美教授に今知っておきたい介護ニュースを解説していただきます。医療制度の現状を知るためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。

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一体どうなる?療養型病床の気になる今後について

今までの背景
まず、療養病床は、介護療養病床(介護保険型)と医療療養病床(医療保険型)の2種類に分かれています。10-02
そもそも、介護療養病床には、下記のような経緯があります。

10-03上記の背景には、介護保険により医療保険を圧迫し続けていた「社会的入院」を、介護保険に吸収することで解消することを目論んで、療養型病床を創設したという経緯があります。

しかし、「社会的入院」の解消に目途が付いた時、他の介護施設に比べ高額の給付費となる療養型病床が重荷となり始め、介護保険がスタートして、まもなく廃止論議が始まってきました。
第43回分科会では「療養病床の転換に係る介護報酬改定の基本的な考え方」を報告しています。そこでは、2012年度まで助成金をつけ、15~17万ベッドを老健に、6~8万ベッドを居住系サービス(ケアハウス・有料老人ホーム)や在宅療養支援拠点(診療所)などに転換することが構想されました。

しかし、2014年10月24日、会計検査院が厚生労働大臣に宛てた「病床転換助成事業の実施に当たり社会保険診療報酬支払基金に余剰金として保有されている病床転換支援金について」という文書のなかでは、以下のように書かれています。

10-04それから、制度・報酬改正の度に療養型病床の廃止が打ち出され、廃止期日の先延ばしが繰り返されて来ました。これらの現状を、介護の専門家はどのように考えるのでしょうか?

白鷗大学 川瀬教授はこのニュースをこう見る!

第7期介護保険改訂で、これを強行した場合、多くの介護療養病床は医療保険適用型に戻るケースが多いと考えられます。そうすると、また介護保険スタート前と同じように、「医療保険適用型療養病床が医療保険を圧迫する」という堂々巡りになると考えます。この問題解決のためには、医療度の高い要介護者の受け皿をどのように確保出来るかですが、厚労省が言う新型療養病床転換のモチベーションとなるほどの介護報酬が設定できるかと言う事に掛かっていると思われます。
また、株式会社三菱総合研究所のデータとして「2014年度横断調査(速報値)介護療養病床の転換意向」によると、転換しない理由として約5割が「地域における、介護療養病床のニーズが高いため」と答えている現場の声を分析する必要も有りそうです。

知っていますか?「かかりつけ医」の意味や探し方

2016年4月から診療報酬改定により私たちは、かかりつけ医を決める必要が出てきました。

国の考え方は、日常の医療は小病院や診療所で、高度な専門医療は大病院という分担をする必要があるとしています。それは、大病院に軽症患者が多く訪れてしまう事で、重症患者への高度治療がいきわたらなくなる事を防止するためとの事です。

しかし、日本医師会の調査によれば、「かかりつけ医がいる」と回答した国民は全体の53.7%であり、半数近くは「いない」ということです。そもそも一般の人には、かかりつけ医の概念がわからない人や、単に身近なクリニックの事と考えている人、探し方がわからないという人が多数いるという現実があります。そんな中で、次々に医療保険の給付費減の為に国民の認識・準備も無視した矢継ぎ早の計画・施策は非現実的と言うほかありません。

また、過疎地では、かかりつけ医どころかそもそも医療機関がありません。結果的に地域の総合病院に行くしか診療を受ける事が出来ず、高齢者は重篤化するまで我慢しがちで、結果として高齢者介護施設入所待機者を増加させている現実を厚労省はどのように見るのでしょうか。

白鷗大学教育学部 川瀬善美教授
Mr.kawase

【プロフィール】専門分野は「社会福祉」。川瀬教授は、福祉を愛と奉仕の世界だけでなく、産業・ビジネスの視点から捉えていくべきと、早くから提唱してこられました。北欧、イギリス、ドイツの介護事情や、米国・豪州・韓国の介護ビジネスにも精通し、大学で教鞭を執られるかたわら、全国各地の高齢者施設・病院経営の経営コンサルタントとしても活躍中。理論面だけでなく、介護施設現場の実情も熟知されています。

出典:シルバー産業新聞
医療制度改革の現状 かかりつけ医普及へ外来負担も

※最新ニュースは「シルバー産業新聞」の協力により、著作権の許可を得て掲載しています。

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