何がどう変わる?新たな施設サービス「介護医療院」

2017-09-08

2017年度末に廃止される予定だった介護療養型医療施設(介護療養病床)の転換先として、2018年4月より新しい施設サービスとなる「介護医療院」の新設がほぼ決まりました。どのような施設なのか、現行の介護療養病床と比較しながら解説します。

介護療養病床の受け皿となる介護医療院

2006年の診療報酬・介護報酬同時改定により、2011年度末までに介護療養病床を廃止し、受け皿となる新しい介護保険施設を設置することが決定しました。その狙いは、医療保険が適用される医療療養病床との役割分担を明確にすることなどでしたが、代替サービスへの転換がうまく進まず、転換期限は2017年度末まで延長されていました。2012年以降、介護療養病床の新設は認められておらず、2006年3月時点で12.2万床あった介護療養病床は、2015年3月には6.3万床まで減少しています。いかに医療・介護難民を出さずに、介護療養病床を廃止し、新しい介護保険施設に転換するかが課題とされていました。

介護療養型医療施設(介護療養病床)の受け皿となる、新しい介護保険施設として示されたのが、「介護医療院」です。

何がちがう?現行「介護療養病床」と新設「介護医療院」の比較

まずは現在の介護療養病床の施設基準について見てみましょう。
現行の介護療養病床の概要
医療法により定められた病院・診療所の病床のうち、長期療養を必要とする要介護者に対し、医学的管理の下における介護、必要な医療等を提供するものです。
適用保険は介護保険制度です。

・人員配置
医師:48対1
看護職員:6対1
介護職員:6対1
床面積:6.4㎡/床

病院or診療所内に設置できる病床でありながら、適用される保険・財源は介護保険制度というねじれがあります。

新たな介護医療院の概要
要介護高齢者の長期療養・生活施設ですが、生活施設としての機能を重視しています。医療も提供するため、医療法に基づく医療提供施設となります。
適用保険は介護保険法。
機能に応じて(Ⅰ)と(Ⅱ)に分けられ、(Ⅰ)は現在の療養機能強化型A・B相当となり、(Ⅱ)は現在の老人保健施設相当となります。

施設基準:(Ⅰ)型

医師:48対1
看護職員:6対1
介護職員:6対1
床面積:8.0㎡/床

施設基準:(Ⅱ)型

医師:100対1(1人以上)
看護+介護職員:3対1(看護職員は2/7程度とする)
床面積:8.0㎡/床

現行の療養病床と大きく違うのは、最小床面積が6.4㎡/床から8.0㎡/床へと基準が変わったことです。床面積が広くなった理由としては、生活施設としての役割を強くするということで、生活・療養環境の向上を求められた結果です。
多床室ではカーテンの設置だけではなく、パテーション等の間仕切りの設置も求められるようになり、プライバシーに配慮した環境作りも必要となります。
経過措置として療養病床から転換して大規模な改修を行うまでは6.4㎡/床で良いことになりそうですが、パテーションは設置しないといけなくなるようです。これを受けて床頭台の代わりとしても使える間仕切り家具タイプの導入を検討している施設も多いようです。
医師配置、看護師配置も変わりませんし機能としては従来と大差はないようですが、先ほども紹介したように床面積の拡大・プライバシーの確保を重要視しており、生活施設としての評価をしていくと思われます。介護報酬の単位や加算項目でも、この辺りが反映される可能性があると考えます。

また、経過期間終了までに個室化が求められることも考えられます。
また、長期療養を目的としたサービス、提供するサービスは医療よりも介護中心となり、24時間体制の看取り、終末期医療、ターミナルケアも行うことになります。
介護医療院は平成30年4月1日からスタートする予定となっていますが、ただ転換するか否かを決めるのに必要不可欠である、明確な施設基準や介護報酬額・加算項目等については平成30年(2018年)の1月末に開かれる介護給費分科会で決定されることになります。従って、介護報酬の単位を知ってから転換するか否かを決める、または、医療保険制度の医療療養病床への転換も含めて、2ヶ月の間に比較検討をし、試算ができる期間はわずか2ヶ月ということで、経営者は大いに悩むことになるでしょう。ただし、経過措置が2023年まであることも考慮に入れると、それも踏まえて冷静に判断する必要があります。

「介護医療院」の収益性や今後の可能性は?

最後に、療養病床から介護医療院へと転換したら施設としての収益はどうなるのかについて考えてみましょう。日本慢性期医療協会ブログの記事「病床機能転換による試算」を見ると、医療療養・介護療養のどちらから転換しても収益としてはアップするとしています。しかし、第5,6期さらには第7期の介護保険財政と、財務省・厚労省の発言等の動向を見る限り、楽観的な予測はできないような気がします。たとえ、第7期に有利な介護報酬等が設定されても、一時的なものにすぎないような気がします。介護医療院の問題については、今後の動向を注視していく必要があるでしょう。

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