介護は一人で抱え込まずに、交流して乗り越えよう

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昨年4月からの総合事業で、各自治体による介護予防や生活支援など、さまざまなサービスを検討または実施する動きが見られていますが、介護に悩む人々へのケアはまだまだ進んでいません。今回は改めて「情報を知る環境づくり」について、特定非営利活動法人つどい場さくらちゃん理事長・丸尾多重子さんにお話を伺いました。

 

 

丸尾さんの介護の原点は、家を這い回る祖母

IMG_0020丸尾さんが運営する「つどい場」は、お昼ごはんを食べながらまじくる(まじわる)場所。
介護の大変さや家族の悩みがワイワイと語られています。「グチりたくなることもある。家族ってそういうもんやと思います」と話す丸尾さんの原点は祖母の介護だったといいます。

「祖母は女手ひとつで4人の子育てをし、心の底には“幸せな家族が妬ましい”という想いがあったみたいなんです。唯一の趣味といったら“嫁いじめ”。
祖母の口癖は“嫁の世話には絶対ならん!”でしたが、60代後半から86歳で旅立つまで、母の介護を受けました。
家族の支えもありましたが、祖母も工夫してがんばりました。

布団から這い出してトイレや風呂も済まして、食事も箸が使いにくければ手づかみでムシャムシャ食べる。現代なら“介助”を受けてしまって、早々に自分に残された能力を奪われてしまっていたでしょう。
皆さんもあまり常識にとらわれず、できるだけ本人の出来ることを残してあげてほしいですね」といいます。

 

合わないケアマネさんは、思い切って変えましょう

以前、お婆さんの介護をするご夫婦が丸尾さんのところへ相談に来ました。
お婆さんの介護をするお嫁さんが体調を崩して入院するため、旦那さんだけでは面倒が見られないので、ショートステイを頼もうとしたそうです。

しかし、担当のケアマネさんは「これからも何があるかわからないから、特別養護老人ホームに申し込みなさい。今申し込んでおいて損はない」とアドバイスしたそう。

それからしばらく経って「施設に入れます」と特養から連絡があり、そのケアマネさんは夫婦に「ラッキーですね!このチャンスを逃したら後がないから入所しなさい」といいました。
それを聞いた丸尾さんは「ラーメン屋の行列に並んで早く入れるのとワケがちゃうんや!」と怒りに震えたそう。

まだまだ軽度の認知症でまったく特養の利用なんて考えていなかった夫婦は、周りに相談しても入所を勧められるだけで、「お姑さんと多少の嫁姑問題もあったけど、私は家で看取ってあげたい。
私は間違っているんでしょうか?」と涙ながらに丸尾さんのところへ相談しました。

同じように悩む皆さんに知っていただきたいことは「ケアマネさんは、ご家族の療養方針を強引に変える権限など持っていない」ということ。
その夫婦に丸尾さんがアドバイスしたのは「ケアマネさんを変える」ことでした。
現在は多くのケアマネさんが介護事業所に所属しているので、知らず知らずのうちに、介護保険を利用できてもっと儲かるプランへお年寄りを誘導してしまっているケースがみられます。介護する人は行政からケアマネさんの情報を知るわけですが、「あそこの事業所が良くて、ここが悪い」なんて教えてもらえない。
そんな困ったときに周りの人に聞ける環境を日頃から作っておくことが必要です。
それができない人は丸尾さんのような“つどい場”に来れば、地域の情報が集まっているのでクチコミで良い介護事業所やケアマネさんがわかります。

そうすることで「認知症の急な進行を避けられる」介護もあるわけです。

 

私の母も祖父母の介護に悩み、丸尾さんが運営する「つどい場さくらちゃん」に相談し、10年以上に及ぶ介護を乗り越えることができました。ケアマネさんやヘルパーさんにも恵まれ、祖父母の最期を家で看取ることができたのも、理解あるお医者さんと出会えたからです。私の母と同じように介護に忙しく、家をあけることが難しい方は一度、丸尾さんの著書で必要な情報を知ってみてください。きっと介護が変わるきっかけになることでしょう。

 

【丸尾さんの著書をご紹介】
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『ばあちゃん、介護施設を間違えたらもっとボケるで!』
(ブックマン社)
ベストセラー医師・長尾和宏氏と、関西の介護者たちの駆け込み寺「つどい場さくらちゃん」主宰・丸尾多重子さんによる認知症医療と介護の最新事情が“ぶっちゃけ漫才”のように楽しくわかる介護施設の選び方。