介護に関わる全ての人にファッションショーで幸せを(前編)

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「少しでも楽しくオシャレに過ごせたら」。そんな介護現場に携わる人たちの願いをファッションショーという形で応える活動が、利用者さん・介護職員さん・事業者さんのそれぞれの想いを三方良しで解決するプロジェクトとして注目されています。介護老人福祉施設で出張ファッションショーを企画・運営するフクシル株式会社の倉橋健太さんにお話を伺いました。

介護に関わる全ての人にファッションショーで幸せを(前編)
介護に関わる全ての人にファッションショーで幸せを(後編)

きっかけは86歳と89歳のおばあちゃんのモデル出演

2014年にシニア向けファッションショーのモデル出演者を公募した際に、介護施設の職員から「86歳と89歳のおばあちゃんを出演させたい」という問い合わせがあったことがきっかけとなり、いまでは介護老人福祉施設でファッションショーを開くようになったフクシルの倉橋さん。「最初のシニア向けイベントでは約20組が出演し、ファッションショーの最後には介護施設への入所をひかえたお二人のおばあちゃんにランウェイを歩いてもらいました。それが想像を超えるくらい感動的で…。ご本人はもちろんご家族や介護職員さんも、すごく喜んでくださって。その時の“自身が携わらせていただいたお仕事を通して、涙を流すほど感謝いただけた”という充実感が大きな転機になった」と倉橋さんはいいます。

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介護を必要とされる方の人生にふれ、讃えることが、ご家族の満足につながる

介護施設に入所されている方のお子さんから聞いたのは「本当は親と一緒に暮らすのが良いけど…」という複雑な心情。その想いを抱えながらの日々において、ファッションショーは少し気分を軽くしてくれるそう。「認知症になる前の本人らしい表情に一瞬戻ったりすると、もう言葉にならないですよね。みんなと楽しく暮らしていた頃の面影にもう一度ふれられるなんて思いもしなかった」という声も。最初は「ドレスなんて恥ずかしい」といっていたお年寄りが、一度ドレスを着ると「結婚当時は戦後で何もなかったから着られてうれしい」とか「農作業ばかりしてきて、こんなお化粧するのも初めて」など、長い人生の中で叶えたくても叶えられなかったことを打ち明けてくれるそうで、「ご本人だけでなく、その夫や妻、お子さんの想いにまでふれられ、企画して本当によかったと思える瞬間が何度もあった」と倉橋さんはいいます。

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お年寄りの楽しみに対する価値が、予算化できない現実を知る

介護施設で暮らすお年寄りがもっと楽しくなれば…と感じた倉橋さんは、介護施設でのファッションショーを事業化。ところが、実現に向けて動き出してみると、介護老人福祉施設からは“予算不足”や“ボランティア”ならOKという回答が相次いだ。「お年寄りに喜んでもらうという価値に対して、気軽に予算を付けられるほど経営は簡単じゃないと気づかされた」と語る倉橋さん。とにかく実績をつくって信頼を得るために10数回に渡りファッションショーを開き続けたという。回を重ねる中で介護老人福祉施設が、職員の採用に多くの予算を当てていることに気づいた倉橋さんは、採用に対する費用対効果の低さに着目。募集をかけても施設の見学に来る人は圧倒的に少なく、1人でも採用できたら大成功という状況を聞いた倉橋さんは、広告代理店での経験を活かし「学生にインターンシップとしてショーの運営を手伝ってもらえば、たくさんの人手が必要なファッションショーも開催できるし、利用者さんも介護職員さんも事業者さんにも喜んでもらえる」ことに気づいたという。ここから倉橋さんのさらなる挑戦が始まります。(続きは後編で)

介護に関わる全ての人にファッションショーで幸せを(前編)
介護に関わる全ての人にファッションショーで幸せを(後編)

【プロフィール】

フクシル株式会社 代表取締役 倉橋 健太さんfashion show 5

「インターン × 福祉 × ファッションショー」をコンセプトに、“おじいちゃんおばあちゃんとファッションショーをつくるインターンシップイベント”を主催する。「Changing the welfare.これからの福祉を変える。」をスローガン掲げるフクシルでは、「私たちがおじいちゃんおばあちゃんになったとき、 世界一イケてる福祉になっていてほしい」という想いを実現するため、介護老人福祉施設でファッションショーなどの活動を展開。1日だけのインターンシップ制度は学生も参加しやすく、福祉のやりがいにふれられると好評。介護施設の職員さんと力を合わせ、非日常空間を作り上げる体験が福祉業界への就職につながっています。

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