データで見る介護の現在・過去・未来 その4「地域別に見た人口」

我が国の人口の推移は19世紀半ば以降に急増し、江戸時代後半の人口は3,000万人程度で安定していましたが、明治に入ると急激な人口増加が始まりました。その後、増加はほぼ一貫して続き、1967(昭和42)年には1億人を突破、2008(平成20)年には1億2,808万人とピークに達しました。しかし、その後は減少局面に入っており、今後は一転して人口減少社会へ突入し、我が国の人口は急勾配の下り坂を降りていくことが見込まれています。そのような流れの中で、地域別の人口はどうなっていくのでしょうか。データで見ていきましょう。

データで見る介護の現在・過去・未来 その1「高齢化社会」
データで見る介護の現在・過去・未来 その2「高齢者の家族と世帯」
データで見る介護の現在・過去・未来 その3「高齢者の介護」
データで見る介護の現在・過去・未来 その4「地域別に見た人口」
データで見る介護の現在・過去・未来 その5「高齢者の生活環境」
データで見る介護の現在・過去・未来 その6「介護人材の需給バランス」
データで見る介護の現在・過去・未来 その7「介護職員の就業環境」

都道府県別単位での人口の増加「増7都県・減40道府県」

都道府県単位での人口の増減について、総務省統計局の人口推計(2014(平成26)年10月1日現在)によれば、前年に比べ、増加は7都県、減少は40道府県となっています。

増加した7都県では全て社会増加(人口移動による増加)となっており、そのうち4都県(東京都、神奈川県、愛知県、沖縄県)は自然増加(出生数が死亡数を上回るための増加)、3県(埼玉県、千葉県、福岡県)は自然減少となっています。

一方、人口減少した40道府県のうち、38道府県(宮城県及び滋賀県の2県を除く)は自然減少かつ社会減少となっています。都道府県別の総人口の増加率を示したのが、<図表1>ですが、全ての都道府県において時間の経過とともに、低下していくことがうかがえます。特に、2035(平成47)年から2040年になると、22道県が-5%を下回る見込みとなっていて、地方においてより人口減少が加速していくと見込まれています。(平成27年版厚生労働白書 厚生労働省)

<図表1>都道府県別総人口の増加率(平成27年版厚生労働白書 厚生労働省)

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資料:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)」

(注) 本資料に記載した地図は、我が国の領土を網羅的に記したものではない。

2050年には現在の居住地域の2割が無居住化と推計

地域別の人口の増減の見通しを更に細かい地域単位で見てみると、市区町村の人口規模別では、人口規模が小さくなるにつれて人口減少率が高くなる傾向が見られ、特に人口1万人未満の市区町村では半分に減少すると見込まれています。また、人口減少がこのまま進むと、2050(平成62)年には、現在人が住んでいる居住地域のうち6割以上の地域で人口が半分以下に減少し、さらに2割の地域では無居住化すると推計されています<図表2>。(平成27年版厚生労働白書 厚生労働省)

<図表2>国土全体での人口の低密度化と地域的偏在(平成27年版厚生労働白書 厚生労働省)

4-2資料:内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン 参考資料集」

(注) 本資料に記載した地図は、我が国の領土を網羅的に記したものではない。

今後の65歳以上の人口割合「2040 36.1%→2060 39.9%」

今後の日本の総人口に占める65歳以上の人口割合を見てみると、2040(平成52)年には36.1%、2060(平成72)年には39.9%と更なる高齢化が見込まれていますが、各都道府県においても今後一貫して増加します。

65歳以上の人口割合が30%を超える都道府県は2010(平成22)年時点では一つもありませんが、2040年には全ての都道府県で30%を超える見込みとなっています。なかでも地方では、2010年時点で、既に22県において25%を超えており、2040年には、北海道、青森県、秋田県、徳島県、高知県において40%を超え、先行して高齢化が進んでいくことが見込まれています<図表3>。

<図表3>都道府県別65歳以上人口の割合(平成27年版厚生労働白書 厚生労働省)

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資料:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)」

(注) 本資料に記載した地図は、我が国の領土を網羅的に記したものではない。

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データで見る介護の現在・過去・未来 その5「高齢者の生活環境」
データで見る介護の現在・過去・未来 その6「介護人材の需給バランス」
データで見る介護の現在・過去・未来 その7「介護職員の就業環境」

まとめ

都道府県単位での人口の増減について、全ての都道府県において時間の経過とともに、減少していくことがデータからうかがえました。地方においてより人口減少が加速していくと見込まれています。2050年には現在の居住地域の2割が無居住化と推計されています。また、地方で先行して更なる高齢化が進み、大都市圏では当面、高齢者人口数が大きく増加することがデータから見えてきました。