噛みにくい、飲み込みにくい人の食事をサポートする知識と工夫

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介護食とは、基本的に高齢による「咀嚼(そしゃく)能力の低下」や「嚥下(えんげ)能力の低下」を引き起こしてしまった方への、食べてもらうための工夫をした食事です。

「咀嚼能力の低下」は、食べ物を噛む力が衰えることを指します。つまり、固いもの、大きなもの、筋張ったもの、粘り気の強いもの、弾力性の強いものなどがうまく噛めなくなります。また、「嚥下能力の低下」は、咀嚼能力はもちろん、加齢によって唾液の分泌が減り、食べ物をまとめる力が減退し、喉の奥に食べ物を押し込むことが困難になることです。その他、気管に入ってしまうなど、様々な障害が起こってしまいます。

こうした症状を引き起こしてしまうと、食べる事を楽しめず、食欲の減退につながってしまいますので、食べてもらいやすい工夫を行い、しっかりと食事を摂ってもらう事が大切です。その為の知識や工夫を少しずつでも覚えていきましょう。

 

えっ!この食品が!? 実は注意が必要な食品!

介護が必要な方に良かれと思って提供したけれど、意外に食べにくい食品だったという話を紹介いたします。

例えば、湯豆腐や冷奴。柔らかいし、介護食向きと思いがちですが、形がくずれやすく、口の中でまとめて飲み込む能力が必要なので不向きです。

また、水やお茶、味噌汁などにも注意が必要です。飲み込む意識を持つ前に喉の奥に入り、気管に入ってしまうという事にも繋がります。

ほか、うどんやそばなどにも注意をすべきです。食べやすいと思いがちですが、すすり上げないと食べられない食品は、むせやすく食べづらいのです。

身近な食材なのですが、しいたけやしめじも気をつけるべきで、煮込んでも形がくずれないため噛み切れない場合があります。
 

注意すべき食品には工夫することが大事!

豆腐の場合、あんかけにしたり、煮込んであんでとじるといった工夫をすると食べやすくなります。

水やお茶、お味噌汁の場合は、かるくとろみをつけると良いでしょう。この場合、片栗粉などでとろみをつけるのは少し大変ですので、あらゆる食品に少量混ぜるだけで簡単にとろみがつく「とろみ剤」を使うと便利です。実際、介護の現場でも、使わせていただいております。

うどんやそば、にゅう麺などは、すすり上げなくても食べられるように3~5cmくらいの長さにカットして、提供するのが好ましいです。現場では、袋のゆで麺なら、包丁の刃の反対側で押し切るようにカットして提供しています。こうすると切ることで麺がばらけないので調理しやすいのです。

しいたけはあらかじめ笠に細かくタテヨコに包丁で切り目をいれておき、しめじは噛み切りにくい軸は取り除いておくという方法があります。

 

そのほか、現場では実際にこんな工夫をしています!

実際に介護食の現場では様々な工夫によって、食べやすい食事を提供しています。

お浸しを作る場合は、2~3cmくらいにカットにして、柔らかくなるように長めに加熱します。繊維が多くて噛みにくい野菜は必ずそのようにします。通常のご飯が食べられない方には、お米とお粥を半々で混ぜて軟飯にします。煮物に入れる野菜は、一旦茹でて柔らかくしてから煮るか、スチームをあてて柔らかくしてから煮ます。ほか、人によっては全ての食べ物、飲み物にとろみ剤を入れないと食べていただけない場合もあります。

とにかく被介護者様が食べやすくて、食べる事を楽しみにしてくださることを大切にしています。

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少しの工夫が、普通の食事を介護食に変身させる!

このように注意すべき食品は、柔らかくしたり、細かく刻んだりと調理方法で工夫をすることで、噛みやすく飲み込みやすくなり、とても食べやすくなります。

しかし、調理方法で食べやすくする工夫といっても様々です。切り方や煮込み方などのテクニックだけで解決しようとすると大変ですので、とろみ剤の様な便利なものをうまく調理に取り入れることをおすすめします。大切なのは「食品の食べにくさに気を配り、ではどう工夫すれば食べやすくなるかということに目を向けること」です。

被介護者様にとっても、介護をする側にとっても、よりいい選択をする事が長く継続できるコツだと思います。

 

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