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食べ物に対する嗜好の要素には、材料の好き・嫌いのほか、味付け、固さ、口当たり、材料の組み合わせかた、材料の調理方法、香り、外観などがあり、これらが総合されて料理に対する嗜好が出来上がるとされています。これは、今まで育った環境や生活、毎日食べてきた食事など幼児期から現代までの食経験の上に、嗜好は作られて特に幼児期から大人に至るまでの食生活が、大きな影響を与えているようです。

 

ですから、若いころに食べて好きになったスイーツがもしも「ティラミス」だったら、やはり年をとってもティラミスが好きだと思います。でも残念なことに高齢者の方が若かった時代、ティラミスはまだ日本に上陸していませんでした(ティラミスの日本上陸は20世紀終わり頃でした)。


引用文献

医歯薬出版株式会社:からだの不自由なお年寄りの食事 つくり方と介助 18頁(1999)

 

スイーツを選ぶ時、私たちはどんなことを頭の中で考えるでしょうか?
好み、体調、空腹感、流行、マスコミの情報、そのスイーツの栄養価(カロリー)、価格、味、ブランド、製造元などたくさんの条件の中で折り合いをつけて選んでいます。

「せんべい」や「大福」はどこにでも売っていますから、入手も簡単で高価ではありません。食べずに残しておく(保存する)こともできます。
それに対して、「チョコレートパフェ」は1個当たり割と高価な商品であるばかりか、家に持って帰ることができません。さらに、「ショートケーキ」のようなデコレーションのある洋風の菓子は、慎重に持って帰らないと形が台無しです。家で食べるスイーツを選ぶときには、自宅近くの店で購入できるかどうかというような店の立地条件や交通の便も関連しています。

 

体調との兼ね合いでは、歯が悪くなってくると固いものは好まれないというよりも、避けられるようになります。体調や疾病が原因で洋風のスイーツを避けるかもしれません。しかし、高齢者は洋風のスイーツが嫌いということにはなりません。要するに、高齢者の方は千差万別、多種多様であり、嗜好も様々なのです。私たちは「高齢者は和菓子が好きで、洋菓子は好きではない」というように、高齢者の方をひとくくりにして見てはいないでしょうか。「高齢者は和菓子が好きでしかも洋風のものも好き」というように、その方の嗜好やニーズ、体調にあったスイーツを選んで食べてもらうことがよいと思います。
たまに趣向を変えて洋風のスイーツを勧めてみるのも、喜ばれるかもしれないですね。


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