酸化発酵を利用する紅茶の場合、製造の過程で茶葉の色が緑色からつやのある褐色へと変化するだけでなく、水色も緑黄色から美しい赤褐色へと、香りは新鮮でグリーンな香りから、花や果物を思わせる華やかで芳醇な香りへと、味わいはより深いものへと変化していきます。
酸化発酵を少しだけ利用して作られるのが烏龍茶です。実は紅茶の発祥の地は、この烏龍茶の製造が現在も盛んに行われている中国の福建省なのです。17世紀前半に中国からヨーロッパに紹介されたお茶は当初、釜炒り緑茶と烏龍茶でした。お茶の人気が次第に高まり、特にイギリスでは、より水色と味のしっかりした酸化発酵の強いタイプの烏龍茶が好まれるようになりました。イギリス人の嗜好に合わせて産地でさらに酸化発酵を進めていくうちに、完全発酵の黒褐色の紅茶が生まれたのです。
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